解剖学や生理学という言葉をよく耳にはしますが、皆さん、その違いを明確に説明することはできますか?
解剖学と生理学は、医学や生物学における基盤となる学問分野であり、それぞれが人体を異なる側面から研究しています。両者は「解剖生理学」という言葉がある通り一体として考えられることも多い反面、その焦点と方法論は明確に異なります。
今回は、この「解剖学」と「生理学」の違いについて説明したいと思います。
解剖学(Anatomy)とは?
解剖学は、人体の構造について身体の各部分や器官、組織の形態と位置、相互の関係性を研究する分野です。
例えば心臓、肺、骨、筋肉などの大きな器官や構造など肉眼で観察可能な構造を理解する「肉眼解剖学」について、人体や標本を使って学ぶシーンはよく目にするのではないでしょうか?
また、神経細胞や血管の内壁など人体の微細な構造を明らかにする「顕微解剖学」というカテゴリーもあります。
解剖学の研究は、古代から現代に至るまでさまざまな技術の進歩とともに発展してきました。
現代では、CTスキャンやMRIといった画像診断技術も活用され、体内の構造を非侵襲的に観察することが可能です。
生理学(Physiology)とは?
一方、生理学は、人体の機能や生命現象を研究する学問です。具体的には、体の各部分がどのように機能し、それらがどのようにして生命を維持しているのかを探ります。
例えば、細胞膜の透過性、エネルギー代謝、シグナル伝達など細胞レベルでの機能や活動を研究します。
そのほか、循環器系、呼吸器系、消化器系など複数の器官や系統がどのように連携して働くかを研究するカテゴリーもあります。
生理学の研究は、実験や観察を通じて行われ、薬理学や病理学とも密接に関連しています。例えば、薬物が体内でどのように作用するかを理解するためには、対象となる器官や系統の生理学的知識が不可欠です。また、病気のメカニズムを解明し、新しい治療法を開発するためにも、生理学の理解は欠かせません。
トレーナーにとって、解剖学と生理学の理解は必須
解剖学と生理学は、それぞれが異なる視点から人体を探求する学問ですが、両者は互いに補完し合い、総合的な理解を深めるために不可欠です。
解剖学を通して身体の構造を理解することで、鍛えたい筋肉を的確に刺激できるようになります。そればかりか身体の正しい構造を理解することで、ケガの予防にもつなげることができます。
また生理学を学ぶことで、どのような負荷でトレーニングすれば筋肉はどのように強くなるのかなども理解できるようになり、クライアントに的確な負荷の提案や効果・効率面で最適なサービスを提供することが可能になるのです。